Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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えどさんごくし

江戸三国志

吉川 英治

Leggi 江戸三国志 (えどさんごくし) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 577.271 caratteri · 1141 schermate

Aozora Bunko

「うまい」

「もう一杯上げよう」

「もう二、三杯もらわずにはいられねえ」

「アア何杯でも」

「そんなに機嫌よくついでくれると、この釜いッぱい飲むかも知れねえよ」

やっと冗談口が出るほど腹の加減もよくなって来たものでしょう。

そこで次郎は、事によると、二人より先に道を追い越して来たのかも知れないから――といって、一個の包みを茶屋に預け、野槍を持って小仏の中の峠から千魂塚方面へと、はぐれた二人を探すべく、甘酒に元気づいてスタスタと引ッ返して行きました。

ちょうど、七刻下がりの刻限なので、そろそろ旅の者の影も絶え、次郎が去った後は、懸樋の水の音がチロチロとせせらぐのみで、暫く茶店は閑散のていに見うけられる。

すると、障子の閉ててある裏手の小座敷で、

「おばさん、糸と針をありがとうございました。さっきの針箱と一緒に、この戸棚へ入れて置きますから……」

姿は見えませんが、その座敷のうちで、夜飼の鶯が不意に鳴いてみせたような美い声です。

無論――女、それも若い女の。

ところが、いつのまにか婆さんは、ピカピカ光る甘酒の釜を留守番にさせておいて、店は無人のまま寂としていたので、答える者がなかったわけ。