Classici giapponesi con furigana
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えどさんごくし
江戸三国志
吉川 英治
Leggi 江戸三国志 (えどさんごくし) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 577.271 caratteri · 1141 schermate
道は、岩の根から右へ折れます。そこを五、六歩降りかけて西北に傾斜している一帯を見おろしますと、羊腸とした道が星明りにもきれぎれに白く見える。
昼ならば、間の坂道や向うの峰の尾根に、幾つかの寸馬豆人をかぞえられましょうが、夜では、皆目何ものも見あたりません。
また、そこに立って、暫く心耳を澄ますといえども、心にふれ耳に入るものは、形なく色なきものばかりです。日本左衛門の足音でもお蝶の悲鳴でもありません。
山岳切支丹族
――さてまた切支丹屋敷のお蝶の身です。果たしてあれから日本左衛門の追迫を首尾よくのがれ得たかどうか。
つづいて、万太郎がそのあとを追い駆けては行ったものの、彼のえらんだ道は、俗に高尾越えという裏街道で、まるで方角ちがいであったからぜひもない。
では、お蝶そのものはどう逃げたかというに、大日岩から左へ降って、小原の宿へ一散に逃げ下ったものです。
「オウ――イ」
その後ろから木魂になって追う声は、日本左衛門に違いない。茶屋で聞いた話には、小原までは登りの半分ということですが、その影と声とに追われて逃げるお蝶には、千里も下る思いがします。
いよいよ近いうしろに跫音。