Classici giapponesi con furigana
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えどさんごくし
江戸三国志
吉川 英治
Leggi 江戸三国志 (えどさんごくし) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 577.271 caratteri · 1141 schermate
「おい、ねえさん、冷ッこいのを一ぺいたのむぜ」
かたわらの葭簀をのぞいて、そこに出ている縁台の端に腰かけました。
頭の上に――むぎ湯、ところてん、としてある行燈が風を吸って明滅している。
「お待ちどおさま」
「ほい、早えな」
持って来たところてんに箸を執って、かぶりつくようにチューと吸い出した時であります。さびしい導引の笛が、高札場から左のうす暗い片側町を流して通ります。
その笛のふきかたに約束の音があるものとみえ、九兵衛はふと聞きとめると、あわてて小銭を置いてそこを立ち、
「もし、導引さん、――おい、導引」
呼び止めると、座頭は足をとめて、
「へ。およびですか」
と杖の先をうろつかせている。
それを、九兵衛はそばへ寄って、事もなげに笑いながら、
「眼をあきねえ、おれだよ」
「え」
思わず、眼を白くさせた導引は、ふところへ手をやりながら、そこの人影をすかして、
「おう、秦野屋か。おらあまた犬かと思った」
ほっと、気をゆるめたふうです。
それは、座頭頭巾にあたまをくるんだ四ツ目屋の新助で、城下にしきりとうごいている町方役人の目をくらます急場のしのぎと笑って話しました。