Classici giapponesi con furigana
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えどさんごくし
江戸三国志
吉川 英治
Leggi 江戸三国志 (えどさんごくし) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 577.271 caratteri · 1141 schermate
ちょうど軒にも灯がはいる頃。
九兵衛も程よく酔った顔をして、女中たちにざれ口をききながら、料亭の門へ送られて出て、
「かごは。かごはどうしたい」
「きております」
「ウム、二挺だよ」
「さ、お連れ様も、お召しなすって下さいまし」
お粂も何気なくそれへ誘われながら、前のかごに、ぐんにゃりともたれ込んだ九兵衛を覗いて、
「荷元とやらいう家へは、かごでゆく程遠いのですか」
「なあに、遠いといっても、城下はずれさ。歩いてゆけば、腹ごなしにちょうどいいが、途中の道がすこしさびしい。……それに、どうもわしは飲むと、一時ほど眠くなってな」
口をきくのもものうそうに、
「ええ。いい心もちだ」
と、かごの背に寄りかかって、高いびきをかかないばかりな居眠りです。
杖をあげた二挺の町駕籠は、幾つもの辻を折れて、城下の灯をあとへ後へと送ってゆく。
人目のうるさい町中だけ、かごのすだれを下ろして来たお粂が、その時垂れを上げて外を見ますと右も左もいちめんな青田です。
かご屋の足拍子におどろいて、その青田の稲の波へ、紙のように散らかるのは白鷺です。
ツイ、ツイ、と流れて来ては、駕籠のすだれにとまったり、駕籠の中を通りぬけたり、自分の袖にこぼれて来たりするのは、螢の青い明滅です。