Classici giapponesi con furigana
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えどさんごくし
江戸三国志
吉川 英治
Leggi 江戸三国志 (えどさんごくし) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 577.271 caratteri · 1141 schermate
彼の手はお粂の帯のうしろをトンと突いて、その体を金吾の前へよろめかせました。
「あ――」
不意を突かれて、彼女が前へ身を泳がせますと、そこには見馴れない編笠の侍が冷然と自分の前に待っている。
姿がきのうとは変っております。第一、秦野屋を江戸の甲斐絹商人とばかり信じているお粂にはまさかそれが、相良金吾だとは夢にも思いつく道理がない。
(誰だろう?)
すぐに彼女のあたまにうかんだのは日本左衛門の姿です。しかし日本左衛門にしては少し小づくりな骨格がどうも不審にたえません。
すると、編笠の影は、笠の前つばに手をかけました。
「おお!」
と言って、一歩前へ出て来ました。そして、お粂の疑心も、それと共に、思わず一足でもあとへ退がらずにはいられなかったのです。
見ると、そのまに、九兵衛はすばやく後ろへ廻って、遁さぬような目くばりを見はっています。
事態はお粂にとっていよいよ変です。腑に落ちない九兵衛の挙動です。で、彼女は両方の間に気構えをとりながら、わざとさわがぬふうを装って、
「なんだいお前さんがたは。妙なそぶりをするじゃないか。さては私をだまして、どうにかしようという量見だね。