Classici giapponesi con furigana
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えどさんごくし
江戸三国志
吉川 英治
Leggi 江戸三国志 (えどさんごくし) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 577.271 caratteri · 1141 schermate
「見たような女だ……見たことがある。おかしいね、たれだろう?」
しきりと考えていましたが、その身なりから推して、江戸で会った者だろうとだけは想像がつきましたが、にわかに、何処で会った誰ということまでは、どうしても思いあたらない。
と。
天を向いた般若の仮面と、お蝶そのものの美しい顔とが、何に驚いたものか、キッと、うしろを振向きました。
「あっ……」
すッくと立って耳をすますと、まさしく畷の篠のやぶにあたります。風とも思えないしのびやかな音が、水のようにザワザワと流れて来る。
途端に――
一方の木立のなかに、ちらとうごく人影を見たので、お蝶は、仮面と顔とをヒラリと被衣にくるんで、風のごとく馳けだしました。
「それッ」
一陣になって追い慕ッたものがある。
御用――と黄色い明りを振れば、すぐに捕手とわかりますが、この一団の人影には一個の明りもたずさえられておりません。
やがて――
いたずらに、畷の篠や青田のあぜを馳けずり廻って、むなしく先の数人が引っ返して来てみますと、一方、お粂の死骸のまわりにも、幾人かの軽装な捕手が、それをとりまいていぶかしそうに小首をかしげている様子。