Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

ja-reading.com

Leggi i classici giapponesi online con furigana. Filtra per livello JLPT, tocca una parola per il significato e traduci una frase.

えどさんごくし

江戸三国志

吉川 英治

Leggi 江戸三国志 (えどさんごくし) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 577.271 caratteri · 1141 schermate

Aozora Bunko

「寝ちゃあいけねえ。何しろ、油断のならない妙なところだ。寝るな、寝るな、寝入ってしまってはいけないぞ……」と、しきりに眠気をこらえていましたが、いつのまにか、彼の意識も霧のように、ぼやッと、わからなくなったまま、前後のけじめを知りません。

トロ、トロ……と炉のなかの暗紫色の火が、それからの、うごかぬ景色を明滅させておりました。時間にして、約、半刻ばかりの間……。

「寝た振りをしているのかと思ったら、ほんとにヘタばってしまやがった。……おや、お蝶も」

やがて、むっくり起きたのは秦野屋九兵衛です。炉を離れて、これも他愛なく寝入っているお蝶をながめて、自分は、足へ脚絆をつけ初める。

彼は、この盆地の小屋に落ちつく前に、万一の場合を思って、ひそかに用意の解毒を服んでおきました。これは当然な心がけで、その用意を忘れて、あてがわれた馳走を遠慮なくたべながら、油断するな、油断するな、と言い合っていた新助や雲霧は、まだまだ彼の目から見れば若いものだと言いたいでしょう。

脚絆わらじをつけると、九兵衛は、小屋を出てどこかへ姿を消しました。

*   *   *