Classici giapponesi con furigana
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えどさんごくし
江戸三国志
吉川 英治
Leggi 江戸三国志 (えどさんごくし) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 577.271 caratteri · 1141 schermate
「ほ……江戸、お前さん、江戸の者……」
「そうだ、ことばつきでも分るだろう」
「アア、久しくその江戸弁も聞いたことがなかった」
「――と言うと、おまはんも、江戸の人かい」
「うむ」と、がっくり首を下げたふうです。雲霧は、また寝入られてはと、手首をつよく握りしめて、
「なつかしいなあ。江戸は何処だい」
「溝店」
「溝店だ? ……へええ、いよいよなつかしい。下谷だね、そうすると」
「…………」
「そして、渡世は」
「卜い」
「え。何の商売?」
「易者だよ」
「はーて、こいつは益いぶかしい。下谷の溝店で売卜者というと、おれにも心当りがあるんだが、そしておまはんは、何という者だね」
「梅花堂流」
「ふム、梅花堂流」
「馬春堂」
「ひぇッ。ば、馬春堂だって」
と、雲霧が思わず大声で仰天しますと、うそか、ほんとか、馬春堂と称したものは彼の手をもぎ離して、のろまな動物のように四つンばいに這って逃げだしました。
一寸先は暗ということがあるが、この中こそは睫毛の中から真っ暗です。ひょいと手を離したその男は、もうどこへ這ったかわかりません。――すると近くに四ツ目屋の声がして、
「雲霧、何をしているんだ」