Classici giapponesi con furigana
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えどさんごくし
江戸三国志
吉川 英治
Leggi 江戸三国志 (えどさんごくし) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 577.271 caratteri · 1141 schermate
しかし、不意の事件におどろいた群衆の動揺は、ただ口々に何か騒いで、かんじんな自分たちの中に潜んでいる小柄の投げ人を忘れている。
と――その見物のなかに、ただひとり挙動のちがう人間が見出されました。それは、編笠に顔をかくした浪人体の男です。そしてその男が、神楽堂の騒ぎや周囲の狼狽を冷ややかに見やって、何処かぜ吹くかというように、人浪の中をふところ手で抜けてゆく姿が、飴屋の傘にかくれました。
「やっ? ――似ている」
と、釘勘がそれに身のびをして、金吾の袖を引いた時、折悪しく、最前の神主がうやうやしくふすまを開いて、
「おかまいも申さず、長時お待たせいたしまして、まことに失礼仕りました」
と、それへ出て、いんぎんに改まりましたので、二人は、不作法に窓を開けて覗き見をしている訳にもゆかず、外へ心を残してそこを閉めきりました。
で、坐り直ると、脇息をかかえて、うつらうつらと居眠っていた万太郎も、さっぱりと疲れの癒えたように冴えた顔をして、
「いや、自分達こそ、祭典の忙しいところを、突然邪魔をして気の毒に思う。……して、先程頼んだ山案内の者は見つかったであろうか」