Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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みなもとよりとも

源頼朝

吉川 英治

Leggi 源頼朝 (みなもとよりとも) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 306.118 caratteri · 613 schermate

Aozora Bunko

「…………」

頼朝は、依然、押し黙ったまま馬をやりかけた。

「やいっ、待たぬかっ」

源内兵衛は、もうこの獲物を取った気がした。飛びかかって突っかけた。頼朝は駒の平頸へ抱きついた。駒は高く脚をあげたまま狂いながら後へ退がった。

竹の柄は雪にすべる。どこか突いた気はしたが相手には応えがない。源内兵衛は焦って、竹槍を投げすて、腰の野太刀をひき抜いた。そして狂い旋る駒の鞍わきを追い廻して、

「うぬっ」

振りかぶると、馬上、

「痴れ者かな」

と、頼朝は初めて口を開き、髯切の太刀の抜きざまに、無我無心、源内兵衛の素頭を払った。

眼の前に起った獣のような絶叫と、どす黒い血の噴騰に、頼朝自身すらびっくりした。はっきり眼が醒めた心地だった。

「降りろっ」

まだ云っている。それは、長柄刀片手に、馬の口をつかんで離さない男である。

鞍腰上げて、

「下司っ」

と、馬額をのぞき越しに斬り下げると、男は跳びのいたが、肘から先を失って、わっと転げた。

雪に拡がった血の傘は怖ろしく大きく見えた。残る一人の長柄刀はもう近寄りもし得なかった。その怯み面へ、

「寄るか!」

と、頼朝は叱って、太刀の平は馬の尻を打ちたたいていた。