Classici giapponesi con furigana
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みなもとよりとも
源頼朝
吉川 英治
Leggi 源頼朝 (みなもとよりとも) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 306.118 caratteri · 613 schermate
「お察ししております」
「それから、一日も早く、奥州へ下って行こう。こんな所にいても、むだな日を過すようなものだろ」
「いえ」
吉次は強く否定した。
「決してむだな日は費やしておりません。まだまだ数日は、六波羅の詮索が厳しいことでしょう。躍起となって、あなた様を探している最中と思われます」
「そうかい」
「そうかいって――他人事みたいに仰っしゃって、吉次の耳や眼は、この壁の中にいても、ちゃんと、それが聞えます。眼に見える程、分っています。……ですから、もう少しご辛抱なすって下さい。ご窮屈でしょうが」
「うん」
聞き分けはいい。
そう吉次は感心したが、十日も経つと、山の子はまた、山の子に返って、そろそろ爪を生やして来た。
ふと、昼寝から醒めて、
「牛若さま。何をしておいでになりますか」
隣の間をのぞくと、姿が見えないので、驚いて、翠蛾と潮音の姉妹をよんで訊くと、
「いませんか?」
と、これも知らない顔つきである。
「さア事だ」
物に動じない吉次も胆を冷やしたらしい。血眼で探しに出て行った。――すると灯ともし頃、牛若は、何処からか一人帰って来て、
「小父さんは?」
と、吉次がいないのを、かえって不審顔して、翠蛾と潮音に訊ねた。