Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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みなもとよりとも

源頼朝

吉川 英治

Leggi 源頼朝 (みなもとよりとも) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 306.118 caratteri · 613 schermate

Aozora Bunko

なかった。

「おっ。いた」

一つの囲いの中に、盛綱はとうとう彼を見つけ出した。

あそびに夢中になっていた鬼藤次は、盛綱の腕が、自分の襟くびへ来て、襟がみを掴まれるまで気づかなかった。

「不埒者っ」

耳元の声に、あっと、びっくりして後ろへ手をやった時は、鬼藤次の背中は、もう地を摺って、何十尺もズルズル地上を引っ張られていた。

「おゆるし下さいっ。――もしっ。謝ります。盛綱様っ」

「やかましい」

「面目もございません。……つい、つい、出来心から」

「やかましい」

足を上げて、盛綱は、その顔へ一つ喰らわせながら、

「お馬と代えたかねをこれへ残らず出せ」

「かねはございません」

「どうした」

「みな、博奕して、負けてしまいました」

「おのれっ」

盛綱は、赫怒して、

「よくも、洒あ洒あと。あるだけでも出せ」

「もう、まったく、僅かもございません。何とか、取返しますから、どうかしばらくのご猶予を」

彼は懸命に、哀訴したつもりだったが、盛綱の怒りはかえって煽られたとみえる。怖ろしい声で、不届き者っと、叱るや否や腰の太刀をひき抜いて、逃げかける鬼藤次の肩へ、うしろから一太刀あびせた。

鬼藤次は、悲鳴をあげて、転んだが、運よく、周りをかこんでいた人垣の中へ仆れた。