Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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みなもとよりとも

源頼朝

吉川 英治

Leggi 源頼朝 (みなもとよりとも) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 306.118 caratteri · 613 schermate

Aozora Bunko

「老尼さま。日金の牧のお萱さんが見えましたが」

そこへ一人の尼弟子が告げに来た。法音は、きょうは何か、これ以上、政子へ誡える気も挫けたように、それを機に力なく起って、

「姫さまへ、お目にかかりに来たのであろ。庭口からこれへ」

そう云い残して、自分は冷たい尼院の奥へかくれた。

萱は、日金の牧場の主の妻であるが、以前は北条家に仕えていた女だった。三島や五日市などへ出るたびには、その後もよく館へ立寄って、前の朋輩たちとも親しくしていた。

「萱でござります。おかわりもございませぬか」

やがて畏る畏る庭へ来て屈まった女を見ると、政子は、今までの顔いろとは違って、待ちかねていたかのように、

「おう萱か。十日余りも見えないので、案じていました。遠慮はない。そこへおかけ」

と、縁の端をすすめた。

七

萱は、地に蹲ったまま、

「ここには、姫様のほか、誰もおりませぬか」

と、見まわした。

政子も、あたりを見て、

「なんじゃ?」

声をひそめた。

萱は、すばやく近づいて、政子の手へ、何か渡した。そして、

「お館さまからのお文です」

と囁いて、またすぐ、以前のように地へもどって、手をつかえていた。