Classici giapponesi con furigana
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たまものまえ
玉藻の前
岡本 綺堂
Leggi 玉藻の前 (たまものまえ) di 岡本 綺堂 (おかもときどう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 130.703 caratteri · 261 schermate
自分の部屋へ戻って、彼は机の前に坐ったが、あまりに思いも付かない話をだしぬけに聴かされたので、彼の頭は恐怖と驚異とに混乱してしまった。あの可愛らしい藻、あの美しい玉藻、それに怖ろしい悪魔のたましいが宿っているなどとは、どう考えても信じられない不思議であった。いかに神のようなお師匠さまの眼にも何かの陰翳が懸かっているのではあるまいかと、彼も一度は疑った。
しかし、だんだん考え詰めているうちに、いろいろの記憶が彼の胸によみがえってきた。藻はゆくえをくらまして、昔から祟りがあると伝えられている古塚の下に眠っていたこともある。陶器師の婆の話によれば、藻は白い髑髏をひたいにかざして暗い川端に立っていたこともあるという。しかもそれを話した婆は、やはり古塚のほとりで怪しい死に方をしていた。またそればかりでない。近い頃にも関白殿の花の宴に、玉藻のからだから不思議の光りを放って暗い夜を照らしたという噂もある。それやこれやを取り集めて考えると、玉藻が普通の人間ではないらしいという判断も、決して拠りどころのない空想ではなかった。
「かりにもお師匠さまを疑うたのはわしの迷いであった。