Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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たまものまえ

玉藻の前

岡本 綺堂

Leggi 玉藻の前 (たまものまえ) di 岡本 綺堂 (おかもときどう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 130.703 caratteri · 261 schermate

Aozora Bunko

ええ、今さら卑怯に言い抜けようとして、おれには確かな証人があるぞ」

「そのような喚讒を誰が言うた」

「おお、玉藻が言うた。おのれは今宵も無理無体に玉藻をここへ誘い出して、法性寺へ行こうでな。憎い奴め」

実雅の拳は兼輔の頬を二つ三つ続けて打った。大力に打たれた兼輔は悲しい声をあげて、子供につかまれた子猫のように、相手の膝の下をくぐって逃げようと這いまわるのを、実雅は足をあげて鞠のように蹴倒した。こうした散ざんの手籠めに逢って、兼輔もさすがに無念であった。もう一つには、このまま彼の手に囚われていたら、果てはむごたらしいなぶり殺しに逢おうも知れまいという怖れもまじって、彼は足もとに転げている河原の小石をさぐり取って、相手の顔と思うあたりへ三つ四つ投げ付けた。そのうろたえる隙をみて、彼は飛び起きて逃げようとするのを、実雅はすぐに追い掛けて再びその襟髪を掴んだ。

嫉妬と憤怒にのぼせているところへ、小石の痛い眼つぶしを食わされて、実雅はまったく眼がくらんでしまった。彼は再び恋のかたきを蹴倒して、腰に佩いている衛府の太刀に手をかけたかと思うと、闇にきらめいた切っ先は兼輔の烏帽子をはたと打ち落として、その小鬢を斜めにかすった。