Classici giapponesi con furigana
ja-reading.com
Leggi i classici giapponesi online con furigana. Filtra per livello JLPT, tocca una parola per il significato e traduci una frase.
たまものまえ
玉藻の前
岡本 綺堂
Leggi 玉藻の前 (たまものまえ) di 岡本 綺堂 (おかもときどう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 130.703 caratteri · 261 schermate
「はて、天狗じゃない、人間じゃというに……。和郎もそのいたずら者を見つけたら、教えてくりゃれ」と、婆は睨むような白い眼をして言った。
千枝松はすこし薄気味悪くなって、もしや自分のいたずらということを覚られたのではないかとも思った。しかし彼は弱味を見せまいとして、またあざ笑った。
「天狗でも人間でも、こちらで悪いことさえせにゃなんの祟りもいたずらもせまいよ」
「わしらがなんの悪いことをした」と、婆は膝を立て直した。
おお、悪いことをした。となりの娘を遊女に売ろうとした――と、千枝松は負けずに言おうとしたが、さすがに躊躇した。
「悪いことせにゃ、それでよい。悪いことをすると、今夜にも天狗がつかみに来ようぞ」
こう言い捨てて、彼はここの店さきをついと出ると、出逢いがしらに赤とんぼうが彼の鼻の先きをかすめて通った。彼は忌いましそうに顔を皺めながら、隣りの家の門に立つと、柿の梢がまず眼にはいった。「しッしッ」と、彼は足もとにある土くれを拾って鴉を逐った。その声を聞きつけて、藻は縁さきへ出た。
「千枝まか」
二人はなつかしそうに向き合った。さっきの白い蝶が千枝松の裾にからんで来たらしく、二人の間にひらひらと舞った。