Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

ja-reading.com

Leggi i classici giapponesi online con furigana. Filtra per livello JLPT, tocca una parola per il significato e traduci una frase.

たまものまえ

玉藻の前

岡本 綺堂

Leggi 玉藻の前 (たまものまえ) di 岡本 綺堂 (おかもときどう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 130.703 caratteri · 261 schermate

Aozora Bunko

と、清治は声をかけると、あたりは急に明るくなった。その光りは花の宴のゆうべに、玉藻の身から輝いたのと同じように見えた。

それより更に清治の眼をおどろかしたのは、その光りに照らし出されたこの場のむごたらしい光景であった。女の童の小雪は死んだきりぎりすのように、手も足もばらばらになってそこに倒れていた。玉藻の口には生なましい血が染みていた。もうこうなると、相手の玉藻はまさに鬼女である。清治はすぐに太刀に手をかけたが、その手はしびれて働かなかった。

玉藻はその冷艶なおもてに物凄い笑みを洩らした。怪しい光りは再び消えて、暗いなかで男の唸る声がきこえた。

「望みを遂ぐる時節も近づいたと思うたら、丁度幸い男と女の生贄を手に入れた」

男の唸り声も玉藻の声もそれぎりで聞こえなくなった。

夜があけてから、清治と女の童との浅ましい亡骸が古池の水に浮かんでいるのを見いだされた。しかも二人がどうしてこんな無惨な死にざまをしたのか、誰にも判らなかった。

兼輔の死に次いで、こんな奇怪な事件が再び出来したので、忠通の神経はいよいよ傷つけられた。殊に今度はそれが自分の屋形の内に起こったので、彼は言い知れない恐怖と不安とに囚われた。