Classici giapponesi con furigana
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たまものまえ
玉藻の前
岡本 綺堂
Leggi 玉藻の前 (たまものまえ) di 岡本 綺堂 (おかもときどう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 130.703 caratteri · 261 schermate
高僧は玉藻の蠱惑に魅せられて、狂い死にの浅ましい終わりを遂げたのであろう。きのう信西入道の屋形で彼女に囁かれた甘いことばも、今は悪魔の囁きのように思われて、千枝太郎はややもすれば魔道へ引き入れられそうな自分の危うい運命を恐れた。
「きのう、かの玉藻に逢うたか」と、播磨守泰親は若い弟子に訊いた。
千枝太郎は彼女に出逢ったことを正直に打ち明けると、泰親の眉はまた皺められた。
「くどうも言うようじゃが、心せい。お身の行く末いかにも心許ないぞ。玉藻はきのう少納言入道の屋形へまいって、別室で入道に対面し、世におそろしいことを密々に訴えたそうじゃ。関白殿が俄に人数を召されて、宇治の左大臣と少納言入道とを一ッ時に誅伐せらるるお催しがあると申すのじゃ。入道殿ほどの御仁がそのような讒口を真に受けらるる筈はなし、且は日頃から疑いの眼を向けている玉藻の訴えじゃで、まずよいほどに会釈して追い返されたそうなが、こちらへ来てそれほどのことを言う奴、あちらへ参っても又どのような讒口を巧もうやら。返すがえすも怖ろしい。しょせん彼女めはさまざまに手を換え品をかえて、人間に禍いの種をまき、果ては天下の乱れを惹き起こそうとするにきわまった。