Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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たまものまえ

玉藻の前

岡本 綺堂

Leggi 玉藻の前 (たまものまえ) di 岡本 綺堂 (おかもときどう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 130.703 caratteri · 261 schermate

Aozora Bunko

婆どのはあのような怪しい死にざまをして、今にその子細は判らぬかの」

その後になんの不思議もなかったかという問いに対して、翁はこう答えた。

「さあ、不思議というほどのことは……。いや、たった一度あった。おお、たしか去年の秋……やはり丁度今頃のことじゃと覚えている。お前も識っているであろう。この村の弥五六という男……。あの男が暗い夜に、小町の水の近所を通ると、ここらには珍しい美しい上臈が闇のなかを一人でたどってゆく。いや、不思議なことには、その女のからだから薄い光りがさして、遠くからでもその姿がぼんやりと浮いて見えたそうな。弥五六もあまりの不思議にそっと後をつけてゆくと、女の姿はあの古塚の森の奥へ消えるように隠れてしもうた」

千枝太郎は息をつめて聴いていた。

「弥五六もぞっとして逃げて帰った。あくる日近所の者にその話をすると、皆もただ不思議じゃと言うばかりで、その子細は誰にも判らなんだ。すると、その晩のことじゃ。弥五六は急に死んでしもうた。丁度わしの婆と同じように、喉を喰い裂かれて……」

「その上臈はどんな顔かたちであったかな」と、千枝太郎は忙がわしく訊いた。