Classici giapponesi con furigana
ja-reading.com
Leggi i classici giapponesi online con furigana. Filtra per livello JLPT, tocca una parola per il significato e traduci una frase.
たまものまえ
玉藻の前
岡本 綺堂
Leggi 玉藻の前 (たまものまえ) di 岡本 綺堂 (おかもときどう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 130.703 caratteri · 261 schermate
弱い稲妻が彼の直衣の袂を青白く染めて走ったかと思うと、庭じゅうの草や木を一度にゆすって、おびただしい嵐がどっと吹き巻いて来た。大きい屋形は地震ようにぐらぐらと揺れるので、忠通は危うく倒れかかって玉藻の手をとった。
「物怪の仕業であろうも知れぬ。端近う出ていて過失すな」
引き立てられて、玉藻はよろめきながら元の座に戻った。しかも彼女は何物をか恐れるように、蒼ざめた顔を両袖に埋めてそこに俯伏してしまった。夜嵐はひとしきりでやんだらしい。それでも暗い空はいよいよ落ちかかって来て、なにかの怪異がこの屋形の棟の上に襲って来るかとも怪しまれた。
「侍やある。早うまいれ」と、忠通は高い声で呼び立てた。
宿直の侍どもは庭伝いにばらばらと駈けあつまって来た。そのなかでも近ごろ筑紫から召しのぼされた熊武という強力の侍が、大きい鉞を掻い込んで庭さきにうずくまったのが眼に立った。
「すさまじい夜のさまじゃ、警固怠るな」と、忠通は言った。
女たちは身を固くしてひとつ所に寄りこぞって、誰も声を出す者はなかった。それをおびやかす稲妻がまた走って、座敷の燈火を奪うようにあたりを明るくさせた。