Classici giapponesi con furigana
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たまものまえ
玉藻の前
岡本 綺堂
Leggi 玉藻の前 (たまものまえ) di 岡本 綺堂 (おかもときどう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 130.703 caratteri · 261 schermate
師匠やほかの弟子たちの晴れやかな顔を見ていると、彼の結ぼれたような胸もおのずと開けて来た。
十日ほどの後に、彼は師匠の許しを得て山科へゆくと、叔父も叔母も彼の手柄を喜んでくれた。それと同時に、彼はここでも思いも寄らない話を聞かされた。
「お前の久しい馴染みであった陶器師の翁が俄に死んだよ」と、叔父は気の毒そうにささやいた。
「おお、あの翁が死んだかよ」と、千枝太郎はまた驚かされた。
「丁度あの祈祷の明くる朝であった。いつも早起きのあの翁が日の高うなるまで戸をあけぬのを不審がって、近所のものが隙きまからそっと覗いてみたら、翁は紙衾から半身這い出して、両手に空をつかんだままで……。ああ、善い人であったがのう」
「ほんに善い人であったがのう」と、千枝太郎はおおむ返しに言って、深い溜息をついた。
古塚へ夜まいりの女をみたという弥五六は、何物にか喉を食い裂かれて死んだ。それを千枝太郎に教えた陶器師の翁も三浦の孫娘とおなじ夜に死んだ。それらを一いち思いあわせると、彼は一種の強い恐怖におそわれた。玉藻という女を中心にして、いろいろの悲哀と恐怖とが再び千枝太郎の胸に重い石を置いた。