Classici giapponesi con furigana
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たまものまえ
玉藻の前
岡本 綺堂
Leggi 玉藻の前 (たまものまえ) di 岡本 綺堂 (おかもときどう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 130.703 caratteri · 261 schermate
「そのように見ゆるから言うたのじゃ」
二人が喧嘩腰になって口から泡をふこうとするのを、翁は又かというように笑いながらしずめた。
「はて、もうよい、もうよい。隣りの娘が髑髏を頂こうと、抱えようと、わしらになんの係り合いもないことじゃ。角目立って争うほどのこともないわ。千枝まはとかくに婆めと仲がようないぞ。二人を突きあわせて置いては騒々しくてならぬ。千枝まはもう帰って、あしたまた出直して来やれ」
「そうじゃ。爺さまがこんな阿呆を誘い入れたのが悪い」と、婆は焚火越しに睨んだ。「ここはわしらの家じゃ。お前を置くことはならぬ。早う帰ってくりゃれ」
「おお、帰らいでか。わしがことを阿呆とよう言うたな。おのれこそ阿呆の疫病婆じゃ」
呶鳴り散らして、千枝松はそこをついと出ると、外はもう暮れていた。その薄暗いなかに女の顔がほの白く浮かんで見えた。女は小声で彼の名を呼んだ。
「千枝ま」
それは藻であった。千枝松はころげるように駈け寄った。
「おお、藻。戻ったか」
「お前、隣りの家で何かいさかいでもしていたのか。阿呆の、疫病のと、そのような憎て口は言わぬものじゃ」
「じゃというて、あの婆め。