Classici giapponesi con furigana
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たまものまえ
玉藻の前
岡本 綺堂
Leggi 玉藻の前 (たまものまえ) di 岡本 綺堂 (おかもときどう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 130.703 caratteri · 261 schermate
兼輔も藁褥の上に引き据えられて又もや酒をしいられた。酒量の強いのを誇っている彼も、昼からの酒が胸いっぱいになって、さすがに頭が重くなってきたので、彼は憚りもなく自分のそばにいる若い女房の膝を枕にして、小声で朗詠を謡っていた。兼輔ばかりでない、一座はもう乱れに乱れて、そこらには座に堪えやらないような若い男たちもだんだんにふえてきた。縁さきへ出て手持ち無沙汰に月を仰いでいるのは、もう春の盛りを過ぎて額ぎわのさびしい古女房たちばかりで、眉の匂やかな若い女たちは、思い思いに男の介抱に忙しかった。時どきに広い座敷もゆらぐような笑い声がどっと起こった。
「信西入道はきょうは見えぬそうな」と、ひとりの若い公家が思い出したように言った。「あの古入道、このようなまどいに加わるは嫌いじゃで、所労というて不参じゃよ」
「宇治の左大臣殿ももう戻られたとやら」と、その枕もとになまめかしく膝をくずしている若い女房が、鬢のおくれ毛を掻き上げながら言った。
「あの御仁もこのような席へは余り近寄られぬ方じゃが、きょうは兄の殿への義理で、暮れ方までは辛抱せられた。左大臣どのも信西入道も我らには苦手じゃ。