Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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しんしゅうてんまきょう

神州天馬侠

吉川 英治

Leggi 神州天馬侠 (しんしゅうてんまきょう) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 511.765 caratteri · 1011 schermate

Aozora Bunko

――あがったところはまッ暗であった。

だれかが、カチカチ……と火打石を磨っている。部下は二十人ばかり、ここへ置いていったのに、イヤにあたりが静かである。

カチッ、カチッ、カチッ……火打石はなかなかにつかない……

「たわけ者め!」

忍剣は、部下の不用意を叱りつけた。じぶんたちがいない間に、あるいは、軍律を破って、夜半の眠りをむさぼっていたのではないかとさえうたぐった。

「なぜ、かがり火を焚いておらぬ、この暗さで、いざことある場合になんといたす。不埒者めが、はやく灯をつけい!」

「はい、ただいますぐに明るくいたします」

と答える者があったが、すこし声音がへんである。調子がおかしい。

小文治は、部下の者のなかにこんなしわがれた声はなかったはずと思って、きッとなりながら、

「何者だッ、そこにいるのは!」

と、声あらく、どなりつけてみた。

にもかかわらず、相手は平気で、まだカチカチと闇のなかで、火打石を磨っている。

「名を申さんと突きころすぞッ、敵か、味方か!」

ピラリッ――朱柄の槍の穂先がうごいて、闇のなかにねらいすまされた。と、その槍先から、ポーッとうす明るい灯がともった。