Classici giapponesi con furigana
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しんしゅうてんまきょう
神州天馬侠
吉川 英治
Leggi 神州天馬侠 (しんしゅうてんまきょう) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 511.765 caratteri · 1011 schermate
「ええい、この阿呆め、もう、てめえなんぞに、からかっているひまはねえんだ」
ポンと蛾次郎を蹴はなして、脇差をぶちこむがはやいか、ガラリッと土間の戸を開けっぱなして、狼煙のあがった裏の小山へ、いちもくさんにかけあがった。
あとで起きあがった蛾次郎、親の死目に会わなかったより悲しいのか、両手を顔にあてて、
「わアん……わアん……わアん……」
と、手ばなしで泣きだした。
しかし天性の泣き虫にかぎって、泣きだすのもはやいが泣きやむのもむぞうさに、ケロリと天気がはれあがる。
しばらくのあいだ、おもうぞんぶん泣きぬいた蛾次郎は、それで気がさっぱりしたか、プーと面をふくらましてそとへでてきた。と思うと、なにかんがえたか、賽の河原の亡者のように、そこらの小石をふところいっぱいひろいこんだ。
「燕作め! 見ていやがれ」
怖ろしい怖ろしい、低能児でも復讐心はあるもの。蛾次郎が、小石をつめこんだのは、れいの石投げの技で、小判の仇をとるつもりらしい。
燕作がかえってくるのを待伏せる計略か、蛾次郎はギョロッとすごい目をして水車小屋の裏へかくれこんだ。
と、どこまで運のわるいやつ、わッと、そこでまたまた腰をぬかしそこねた。