Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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しんしゅうこうけつじょう

神州纐纈城

国枝 史郎

Leggi 神州纐纈城 (しんしゅうこうけつじょう) di 国枝 史郎 (くにえだしろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 188.242 caratteri · 380 schermate

Aozora Bunko

聞き澄ましてでもいるようであった。

しかし漸次蒼白い顔へ、鮮かな血の気が射して来た。急に唇が綻びた。彼はまさしく微笑したのであった。

「姦婦!」

と突然呻くように云った。

「姦婦!」

とまたも呻くように云った。

どういう意味だか解らなかった。

とは云えこれは陶器師の、人を斬った時の慣用語であった。

おお魔王、血吸鬼、しかし何んと瀟洒とした、しかし何んと雅味を持った、茶人のような血吸鬼であろう!

甲府よ、お前は呪われている! 悪病の主が入り込んだ。そうして黴菌を振り蒔いた。恐らく人種は尽きるだろう。

のみならず血吸鬼が入り込んだ。切って切って切り捲くるだろう。

ふと陶器師は耳を傾げた。闇の方を窺った。シトシトと足音が聞こえて来た。獲物が近付いて来たらしい。

陶器師は退歩りをした。老松の蔭へ身を隠した。主のない焚火は燃えつづけた。飴のように長く延び、時々その先が千切れて飛んだ。トロトロトロトロと燃えつづけた。

闇から二人の老人が産まれた。吐き出されたように現われた。

「おやここにも癩人がいる」

一人の老人がこう云った。長髪が肩で波打っていた。寛やかな道服を纏っていた。