후리가나로 읽는 일본 고전
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しゅんでい
春泥・三の酉
久保田 万太郎
久保田 万太郎의 春泥・三の酉(しゅんでい)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 86,075자 · 173화면
「おい……」
ことさらかれは勢いよく、しまりをしたその格子に手をかけた。
「はい。」
ものゝ響きに応ずるように返事が聞えた。――すぐに上り端と茶の間との間の唐紙があいてあかりのいろが暗い中に流れた。かの女は土間に下りてをはずした。
「お帰んなさいまし。」
そういうかの女の片頬に江戸ざくらのみじめに貼ってあるのをかれはみ逃さなかった。
「どうかしたのか?」
「えゝ?」
「いゝえ、頬ッぺたよ。」
「えゝ、歯が……」
「痛いのか?」
「えゝ。」
「よッぽどか?」
「いゝえ、すこしなんです。――直ったんです、もう……」
が、そうはいっても、昨日あたり結い日だったのを無理にもたせた銀杏返しのほつれが鬱陶しくそのうえに下っていた。
「あゝ冷めたい……」
そのまゝかれは、問わず語りにそういうと、傘と名所焼のつゝみをかの女にわたし、手袋を脱って濡れた靴の紐を解いた。
「誰か来なかったか、留守に?」
座敷へ上るなりかれはいった。
「えゝ、もう少し先刻、三浦さんがみえました。」
「三浦が?」
「えゝ、二時間ばかりまえ。――どこへ行ったろう、疾うに帰ってなければならないんだが? ――しきりにそういってゞした。