후리가나로 읽는 일본 고전
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わたらせがわ
渡良瀬川
大鹿 卓
大鹿 卓의 渡良瀬川(わたらせがわ)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 280,528자 · 557화면
それで早く起きて東京へ帰らねばならん」
正造は書類から目を放たず、いい訳でもするように答えた。
「それなら猶のこと、今夜はもう寝なくてはいけませんでしょう」
「いや、わしは一晩や二晩寝ないでも平気だ。そんなことは毎々のことだ」
いいだしたら後へは退かぬ気性である。それに今夜は頑固からばかりでなく、なにか思いつめたことのある様子なので、かつ子も蒲団から脱けだして冷りとする着物に手を通した。火鉢を正造のそばへ運んで炭をつぎ、小さな髷をかしげて火をおこしだした。正造もやっと書類を膝へおいてそれを見ていたが、
「お蔭でわしも無事に父上を見送ることができた。心からお前に御礼を申します」
その言葉が、余りに真率なひびきなので、かつ子は思わず顔をあげてまじまじと正造を見返した。しみじみと礼の言葉をかけられたことなど嘗て覚えのないことだし意外だった。明けても暮れても政治の奔走で、おそらく家庭のことなど眼中にはないのだろうと、恨むどころか、もはや何十年来まったく諦めてきた。だが、何もいわず何も知らぬようでいて、やはり私の苦労をすべて見透していてくれたのだ。十一年の年月病身の舅にかしずいて来た人知れぬ労苦も、今の一言で報いられたも同様である。