후리가나로 읽는 일본 고전
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だいぼさつとうげ
大菩薩峠5
中里 介山
中里 介山의 大菩薩峠5(だいぼさつとうげ)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 262,120자 · 516화면
今も老人はその算当をしてしまって、幾片かの金を封じにかかると、その窓の下でバタバタと人の走る音がしました。
「はて、今時分」
と封じ金をこしらえる手を休めて老人が小首を傾げました。老人もかなり夜が更け渡っていることは知っているし、またこの時分は江戸市中がどことなく物騒で、夜更けなんぞは滅多にひとり歩きをするものもないことなぞは心得ているのであります。それを今、窓下でバタバタと人の足音がするから変に思いました。
「あれー、助けてエ」
絹を裂くような一声。それは確かに女の声で、その声ともろともに、バッタリと人の倒れる音、それが自分の坐っている窓の下で起ったのだから、金を封じてはおられません。
すっくと立って、窓を押し開いて外を見ました。
未申のあたりに月があって、外面をかなり明るく照していましたから、老人の眼にもはっきりとわかります。
その窓の下の溝のところに、確かに人が斬られて横たわっています。斬られたのは、たった今で、声こそ立てられないけれど、手足はまだピクピクと動いているものらしくあります。
老人は愕然として、その道筋の左右を見廻すと、お竹蔵の塀について、榛の木馬場の方へふらふらと歩いて行く一個の人影を認めないわけにはゆきません。