후리가나로 읽는 일본 고전
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しゅんでい
春泥・三の酉
久保田 万太郎
久保田 万太郎의 春泥・三の酉(しゅんでい)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 86,075자 · 173화면
みぞれ
一
――なぜなら、そのあたり、浜町河岸から矢の倉河岸へかけて、実にそこは「中洲」時代のかれのなつかしい「巣」だったからである。一ト晩といえどかれは俥をその河岸にとばさなかったことはなかったからである。芳町から柳橋へ、柳橋から芳町へ、役があがるとすぐかれは芝居を出、あるいは魚河岸の客に、あるいは兜町の贔負に、あるいは木場の旦那に、呼上げられてはつねにその界隈の有名な茶屋小屋……岡田だの、福井だの、亀清だの、柳光亭だの、深川亭だのに始終もう入浸りになっていたのである……
かれは眼を転じて電車通りをみた。そこには広い道の上を電車に交って自動車と自転車とが目まぐるしく行交っている。その間を縫ってトラックが絶えずけたゝましい地響をさせている。――が、嘗ての日のあれほど矢のように飛交った俥の影は? ……なつかしい、馴染のふかいあの俥の影は……?
「変ったなァ……」
じきにかれは歩き出した。――あてもなく一人寂しく両国のほうへかれはあるいた……
みぞれ
一
「で、どこへ行こう、こゝへ行こうのあげく向島へ……」
「とは、また、酷く拈った……」
「というのが、いゝえ、その病気見舞に行ったさきというのが吉野町。