후리가나로 읽는 일본 고전
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わたらせがわ
渡良瀬川
大鹿 卓
大鹿 卓의 渡良瀬川(わたらせがわ)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 280,528자 · 557화면
彼は六尺四面の独房にあって、疼痛を堪えながら、過ぎこしかたをさまざま思いめぐらしていたが、ふと考えついたことがあった。かねて買い求めてあった聖書を読むのは、この機会だと思いついたのである。
永島はすぐさま父へ宛てて書面をしたため、聖書の差入れを頼んでやった。すると二三日たって小林孫平が面会にきて、その聖書を差入れていった。それからのちの永島は、聖書とともに起き聖書とともに寝るという有様だった。毎日々々監房のうちに外光の射しこむあいだは、細かい活字に目をさらしつづけた。夜になると脳裏に刻みつけられた章句を復誦しては、くりかえしその真意を模索するのだった。もはや独房の狭さも佗しさも、聖書によって導かれる精神界の遙けさの前には、なにものでもなくなった。二十日たち三十日たつと、なにか目に見えぬものの手によって、心の扉が徐々に押しひらかれてゆくのを感じだした。
やがて永島は、信仰とは、ただひたすらに信ずることであると覚りだした。天地の神がわれらの人類の父であって基督こそわれら人類の救世主であると信じられてきた。自分たち人間がこの世に在る目的は、決して一身の幸福を求めることではなくて、ただ一途に神意に従うにある、ということがわかってきた。