후리가나로 읽는 일본 고전
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だいぼさつとうげ
大菩薩峠5
中里 介山
中里 介山의 大菩薩峠5(だいぼさつとうげ)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 262,120자 · 516화면
暫らくは、うんがの声を揚げる者がありませんでした。外はどのくらいの荒れかわからないが、今まで木の葉のように弄ばれていた船が、グルグルと廻りはじめたかと思うと、急にひとところに停滞して、何物かに揉み砕かれているらしい物音です。
そこで、「船が……」と言ったものから真先に口を噤んでしまって真暗な中に、おのおの面の色を変えたが、幸いに、船は揉みほごされて凝りを取られたように、真一文字に走り出したらしい。どこへ走り出すのか知らないが、ともかく、揉み砕かれるよりは走り出したのが、いくらかの気休めにはなったと見えて、
「船は違いましょうけれど、風は昔も今も変りませんからね」
今度は誰も返事をする者がありません。船は、やはりミシミシと音を立てながら、矢のように進んで行くらしい。
「いよいよという時は、なんだってじゃあありませんか、みんな、それぞれ持っているいちばん大切なものを一品ずつ海の中へ投げ込むと、それで風が静まるというじゃありませんか。身につけた大切なものを、わだつみの神様に捧げると、それで難船がのがれるというじゃありませんか。もし、そういうことになったら、私共あ、私共あ……」