후리가나로 읽는 일본 고전
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だいぼさつとうげ
大菩薩峠5
中里 介山
中里 介山의 大菩薩峠5(だいぼさつとうげ)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 262,120자 · 516화면
お角はしきりに縄に食いついて放そうともしません。
「岩入坊は縛るのが名人だからね、岩入に縛られちゃ往生さ」
子供は、こんなことを言いながら、お角のするようにさせておりました。
「あ、痛!」
あまり力を入れて、歯を食い折ったか、ただしは唇でも噛み切ったか、面を引いたお角の口許に、にっと血が滲んでおりました。
「解けましたよ」
その時にお角は、クルクルと縄の一端を持ってほごしてしまいました。
子供の手を自由にしてやって、お角は元の座に戻り、紙をさがして口のあたりを拭きました。滲み出した血を、すっかり拭き取って平気な顔をしているから、大した怪我ではないでしょう。
「どうも有難う」
子供はそこで、お角と甚三郎の前へ両手を突いてお辞儀をします。
「清澄から、これまで一人で来たのか」
「エエ、一人で逃げて来ました」
そこで甚三郎は、じっとこの子供の顔を見つめました。清澄は安房の国の北の端であって、洲崎はその西の涯になります。いくら小さい国だと言ったところで、国と国との両極端に当るのです。その間を、この少年が両手を後ろに縛られたままで、ここまで逃げて来たということが嘘でなければ、ともかくもそこに、非凡なものの存することを認めないわけにはゆかなかったのでしょう。