일본어 읽기 연습

후리가나로 읽는 일본 고전

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わたらせがわ

渡良瀬川

大鹿 卓

大鹿 卓의 渡良瀬川(わたらせがわ)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.

N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 280,528자 · 557화면

아오조라 문고

いや、渡良瀬沿岸何十里が、放っておけばもう十年で全部こうなってしまうのです」

正造は遠く来し方を顧みる面持で、今きた堤をふり返った。人々もふり返った。すると白い花をぼつぼつ浮べてゆれ動く葭原の果に、小さくくっきりと紫色の筑波が秋の陽に映えていた。

こうして半里あまりくると、堤防の上に見すぼらしい茶店があった。そこで俥をすてて、女たちを床几に休ませ、

「ここから堤を下りて南へ五六丁ゆけば渡良瀬川の渡船場があります。そのむこうはもう海老瀬村の激甚地、その途中が谷中村下宮で、ここもひどい。ところがこの村に、はなはだ奇異の感にうたれるものがあります。いま御案内しますが、周囲の農家は壁が落ち軒が傾くという悲境のなかにあって、ただ一軒、古沢某という悪人の家が、棟高く壁白く抜きでている。先年古河の犬となって永世示談をたくらみ、五六カ村の人々を死地に陥れた奴の家です……」

正造が激しい口調で説明していると、そこへ松本英一が村役場の者をつれて迎えにきた。

一行は彼等の案内で堤を南へ下りて、まもなく下宮の部落へ入った。どこの軒下も陰影が濃く、破れ障子が日にさらされているのが、家々の非運を象徴するもののよう、しかも部落の大半は雨戸をたてきっていて、もうそこには人の出入りもなく竈の火の燃え立つこともあるまいとしか思われなかった。