후리가나로 읽는 일본 고전
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わたらせがわ
渡良瀬川
大鹿 卓
大鹿 卓의 渡良瀬川(わたらせがわ)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 280,528자 · 557화면
午後はまた村内の貧者を戸別に訪ねた。どこを歩いても犬一匹鶏一羽みなかった。鳥の声も虫の音も聴かれなかった。鎮守の森へくると、繁った杉木立の下に、葭の網代を屋根に葺いて、周囲に菰をさげた小屋がある。つぎはぎの筒袖をきた老婆が落葉を掃いていたが、箒を杖に屈んだ腰をのばして、問われるままに身の上を東京弁を交えつつ語るのだった。「はい、七十八になります。五年前からここへ来て少しばかり菓子など商っておりますが、この頃は御参詣の人がないので商売もございません。ただ毎日々々、お宮の周りを掃除しているだけでございます」
昼間でも寂莫としたこの森の中、深夜の物淋しさはどんなであろうか。聞えるものは杉の下葉を打つ露の雫、あるいは木鼠がものを齧る音。老婆の枕に通うのはなんの思いであろうか……。婦人たちが、闇の果を覗くような眼差しをしていると、老婆は自ら荒井ゆりと名のり、息子や娘もいるにはいるが、娘は嫁ぎ先が同じ窮迫に陥って気が狂い、息子は出奔して音便不通だと語るのだった。昔この沿岸に何千万という漁民がいた頃の魚問屋の妻女のなれの果だと役場員がいい添えた。
潮田がまた一緒に東京へ出ないかと誘ってみたが、