후리가나로 읽는 일본 고전
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きどうむかしがたり
綺堂むかし語り
岡本 綺堂
岡本 綺堂의 綺堂むかし語り(きどうむかしがたり)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 183,656자 · 363화면
もう珍しくもないので、薄暗い表には誰も覗いている者もなかった。徳さんは黙って私に会釈して格子をあけてはいった。格子のあく音がきこえると同時に、南向きの窓が内からがらりと明いた。前にも云った通り、窓は南に向いているので、路地を通っている私は丁度その窓から出た女の顔と斜めに向き合った。女の歯の白いのがまず眼について物凄かった。
わたしは毎朝家を出て、夕方でなければ帰って来ない。お玉さんは滅多に外へ出たことはない。お玉さんがこのごろ幽霊のように窶れているということは、家の者の話には聞いていたが、わたしは直接にその変った姿をみる機会がなくて過ぎた。それを今夜初めて見たのである。お玉さんの平べったい顔は削られたように痩せて尖って、櫛巻にしているらしい髪の毛は一本も乱さずに掻き上げられていた。その顔の色は気味の悪いほどに白かった。
「旦那、旦那。」と、お玉さんはひどく若々しい声で呼んだ。
私も呼ばれて立ちどまった。
「あなたは洋服を着ているんですか。」
その時、私は和服を着ていたので、わたしは黙って蝙蝠のように両袖をひろげて見せた。お玉さんはかの白い歯をむき出してにやにやと笑った。