후리가나로 읽는 일본 고전
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きどうむかしがたり
綺堂むかし語り
岡本 綺堂
岡本 綺堂의 綺堂むかし語り(きどうむかしがたり)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 183,656자 · 363화면
白鳥はどこの巣へ帰ったのか、もう見えなくなりました。起き直って、巻莨を一本すって、その喫殻を水に投げ込むと、あたかもそれを追うように一つの白い花がゆらゆらと流れ下って来ました。透かしてみると、それは栗の花でした。
栗の花アヴォンの河を流れけり
句の善悪はさておいて、これは実景です。わたしは幾たびか其の句を口のうちで繰り返しているあいだに、船は元の岸へ戻って来ました。両君は櫂を措いて出ると、私もつづいて出ました。貸船屋の奥には黄いろい蝋燭が点っています。亭主が出て来て、大きい手の上に船賃を受けとって、グードナイトとただ一言、ぶっきらぼうに云いました。
岸へあがって五、六間ゆき過ぎてから振り返ると、低い貸船屋も大きい栗の木もみな宵闇のなかに沈んで、河の上がただうす白く見えるばかりでした。どこかで笛の声が遠くきこえました。ホテルへ帰ると、われわれの部屋にも蝋燭がともしてありました。
ホテルの庭にも大きい栗の木があります。いつの間に空模様が変ったのか、夜なかになると雨の音がきこえました。枕もとの蝋燭を再びともして、カーテンの間から窓の外をのぞくと、雨の雫は栗の葉をすべって、白い花が暗いなかにほろほろと落ちていました。