후리가나로 읽는 일본 고전
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きどうむかしがたり
綺堂むかし語り
岡本 綺堂
岡本 綺堂의 綺堂むかし語り(きどうむかしがたり)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 183,656자 · 363화면
大判司に対して、成駒屋ァの声が盛んに湧くと、それを圧倒するように、定高に対して成田屋ァ、親玉ァの声が三方からどっと起る。
大判司と定高は花道で向い合った。ふたりは桜の枝を手に持っている。
「畢竟、親の子のと云うは人間の私、ひろき天地より観るときは、おなじ世界に湧いた虫。」と、大判司は相手に負けないような眼をみはって空うそぶく。
「枝ぶり悪き桜木は、切って接ぎ木をいたさねば、太宰の家が立ちませぬ。」と、定高は凜とした声で云い放つ。
観客はみな酔ってしまったらしく、誰ももう声を出す者もない。少年も酔ってしまった。かれは二時間にあまる長い一幕の終るまで身動きもしなかった。
その島原の名はもう東京の人から忘れられてしまった。周囲の世界もまったく変化した。妹背山の舞台に立った、かの四人の歌舞伎俳優のうちで、三人はもう二十年も前に死んだ。わずかに生き残るものは福助の歌右衛門だけである。新富座も今度の震災で灰となってしまった。一切の過去は消滅した。
しかも、その当時の少年は依然として昔の夢をくり返して、ひとり楽しみ、ひとり悲しんでいる。かれはおそらく其の一生を終るまで、その夢から醒める時はないのであろう。