일본어 읽기 연습

후리가나로 읽는 일본 고전

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きどうむかしがたり

綺堂むかし語り

岡本 綺堂

岡本 綺堂의 綺堂むかし語り(きどうむかしがたり)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.

N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 183,656자 · 363화면

아오조라 문고

勿論、須田町の方から廻ってゆく道がないでもないが、それでは非常の迂廻であるから、どうしても九段下から三崎町の原をよぎって水道橋へ出ることになる。

その原は前にいう通りの次第であるから、午前四時五時の頃に人通りなどのあろう筈はない。そこは真っ暗な草原で、野犬の巣窟、追剥ぎの稼ぎ場である。闇の奥で犬の声がきこえる。狐の声もきこえる。雨のふる時には容赦なく吹っかける。冬のあけ方には霜を吹く風が氷のように冷たい。その原をようように行き抜けて水道橋へ出ても、お茶の水の堤ぎわはやはり真っ暗で、人通りはない。幾らの小遣い銭を持っているでもないから、追剥ぎはさのみに恐れなかったが、犬に吠え付かれるには困った。あるときには五、六匹の大きい犬に取りまかれて、実に弱り切ったことがあった。そういう難儀も廉価の芝居見物には代えられないので、わたしは約四年間を根よく通いつづけた。その頃の大劇場は、一年に五、六回か三、四回しか開場しないのに、春木座だけは毎月必ず開場したので、わたしは四年間にずいぶん数多くの芝居を見物することが出来た。

三崎町三丁目は明治二十二、三年頃からだんだんに開けて来たが、それでも、かの小僧殺しのような事件は絶えなかった。