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いやなかんじ

いやな感じ

高見 順

「文学界」1960(昭和35)年1月~1963(昭和38)年5月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 292,113 字 · 587 页

青空文庫

こういう俺の人生だったら、どんなに面白かったろうとそう思う、そう思われる人生を、砂馬はちゃんと自分のものにしていた。俺の生きられなかった人生を、砂馬は生きた。そしてそれ以上のことを砂馬はしている。

あの破廉恥の遊びだって、砂馬に誘われたからというだけでなく、初めは俺自身、自分もしたいと思ったからだが……。

芸者を四人呼んでくれと砂馬はカイナ(仲居)に言った。

「四人ですか?」

眼尻に褐色のイボをつけた仲居のその言葉に、

(それ来た……)

拒絶の第一声だと俺は思った。

「二人はかえすんでしょう? こんな時間に可哀そうですね」

「四人ともお泊りをつけてやる」

「それにしたって……」

「いや、四人ともひきうけてやる」

「あら、まあ、精力絶倫……」

招き猫みたいな手つきをして、

「お一人で二人ずつ――妙な遊びがお好きなんですね」

小肥りの仲居は笑った。俺たちの破廉恥を咎める笑いではなかった。むしろ唆すような笑いだったから、砂馬は気をよくして、

「早くも見破られたな」

「それでしたら四人でもかまいませんわね」

「かまわないだろう」

「うちは、かまいませんけど」

「芸者がどう出るか」