轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
いやなかんじ
いやな感じ
高見 順
「文学界」1960(昭和35)年1月~1963(昭和38)年5月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 292,113 字 · 587 页
ゆらゆらと揺れる火に照らし出された顔をのぞくと、それはアビルだった。豚箱のときと同じ垢だらけの顔である。
「こんなところに突っ立って、何をしてるんだ」
疑問をいきなり口にすると、
「商売をしてるんだ」
アビルはにこりともしないで、そう言って、俺の背後に、とみこうみの眼をやった。
「なんだ、また何か見えるか。憑きものでも見えるか?」
「何しに来たんだい」
「ご挨拶だねえ。お前に会いに来たんだ」
「そうか、それはすまなかったな。加柴の四郎さん」
「ほ、なれなれしく言うじゃないか」
「もっとなれなれしく言えば、俺に頼みがあって来たのかと思った」
「しょってやがる」
「死神をしょってるね、四郎さんは」
そうかいと俺はうそぶいた。
「あんたは人にねらわれてる」
とアビルはつづけて言った。尾垣派がまだ俺をつけねらっているのか。
「どうして分る?」
アビルはそれに答えないで、
「あんたを殺したがってる奴がいる」
さらりと言って、おどかしの調子ではない。気ちがいの声とも思えるが、
「そんな殊勝な奴がいるのか。どこに?」
俺は幾分ふざけていた。
「そこに……」
とアビルはただちに言って、俺の背後に眼をやった。