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いやなかんじ

いやな感じ

高見 順

「文学界」1960(昭和35)年1月~1963(昭和38)年5月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 292,113 字 · 587 页

青空文庫

絶望よりももっと苦痛だったかもしれぬ。

生きようとしている。俺は生きたかった。それは俺に絶望が俺に与えるようなものを与えていた。生きたいという希望は俺にとっては絶望だったからか。

「で、あんた、どうするんだ」

とアビルは言った。

「どうしようかな」

と俺は言った。

「どうしたらいいかな」

とアビルは俺が言いたいようなことを言って、

「どうしようもないかな」

「そんなことはない」

と俺は強く言った。

「じゃ、どうする気だ」

「どうかしたい」

「でも、どうしたらいいか分らない?」

「それは分ってるんだ」

「どっかへズラかりたい?」

「そうだ。ズラかろう」

「いっそ遠くへテンガエル(逃げる)がいい」

アビルはポケットに手を入れて、

「あんたがきっと来ると思って、あらかじめササ(手紙)を書いといた。これはハッタリじゃない。ハッタリと取られると困るが、紹介状を用意しといた」

ポケットから、白い、まっさらの封筒を出してきた。ただのヒツジロップク(封筒)なのだが、見すぼらしいみなりとの対比で、それがヤケに立派に見えた。

「これを持って北海道へ飛びなさい」

「北海道?」

タコ部屋への紹介状か。俺が言うと、アビルはきびしい語調に変えて、