轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

いやなかんじ

いやな感じ

高見 順

「文学界」1960(昭和35)年1月~1963(昭和38)年5月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 292,113 字 · 587 页

青空文庫

「死に神が来やがった」

そう言うアビルの視線を追うと、そこにオカマのロクのいまわしい姿があった。手にした夕刊で俺を招いている。

「今夜のあの男は、ちょっと、様子がちがうけど、加柴さん、相手にならないで、早く行きなさい」

「ありがとう」

初めて俺は礼を言った。素直に礼の言葉が口から出た。

雑沓のなかにまぎれこんだつもりだったが、オカマのロクは執拗に俺のあとをつけてきて、

「ちょいと、ちょいと」

と俺に追い縋った。その巧みなつけ方には俺も舌をまかずにはいられなかった。同時に俺は、昨夜のロクの出現とこの巧みさとの間には何か関係があるぞと早くも感じていた。

「加柴さん。かんにんして。あたしが悪かった」

「うるせえな。そう、つけ回すなよ」

「そうなの。昨夜はあたしが悪かった」

「悪かったと思うんなら、あっちへ行きな」

「いえ、何もかも、あんたに白状しなくっちゃ……」

俺が好きになったのでという前置きをしての、ロクの白状とは、こういうのだった。

ある人から頼まれて、あたしは昨夜もあんたをつけ回して、あの焼酎屋で、偶然会ったみたいに話しかけた。そしてあんなところへ連れて行って、ごめんなさい。