轻松读懂日语经典作品
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いやなかんじ
いやな感じ
高見 順
「文学界」1960(昭和35)年1月~1963(昭和38)年5月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 292,113 字 · 587 页
まっ黒になってはたらかねばならぬ明日を忘れて
年寄やわかい女房に気前を見せてどんぶりの財布をはたく群集、
年寄やわかい女房と一緒ではない俺は、牛肉を思い切り胃袋に詰め込むと、
「女を買いに行こうや」
と丸万に言った。クララの身うけの話を俺はどうもうまい工合に切り出せなかった。いっそ、その話の前に、本人を見せちまえと俺は思った。
「このごろ、おめえはヤチモロの四郎さんで通ってるぜ」
と丸万は黒い歯茎を出して笑った。
「ヤチモロたあ、なんだい」
「ど助平ってことよ」
「ど助平か」
ワッハッハと俺は嬉しそうに、まるで丸万から褒められたみたいに笑った。笑った俺は、ど助平と言われたことに不服ではなかったからだが、俺としてはただ、いろんな女に対して俺がど助平なんではなく、ただひとりの女に俺が夢中なのだということだけは丸万に分って貰いたかった。
と言ったからとて、何も俺は俺の純情を誇ろうというのではない。社会への反逆は既成道徳への反逆でもあったから、いわゆる純情なんてものを俺は一笑に付していたけれど、俺がいま、ひとりの女に対して打ちこんでいるその情熱は丸万に知って貰いたかった。