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いやなかんじ

いやな感じ

高見 順

「文学界」1960(昭和35)年1月~1963(昭和38)年5月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 292,113 字 · 587 页

青空文庫

ぱっとバッタのように彼らはトラックのうしろに飛びついて行った。彼らのうちの二人ほどが、高いトラックに取りつくのに成功した。竹筒のとがったさきを、少年たちが下の袋に突きさした。

白い流れが路上にそそがれた。米なのだ。米袋を積んだトラックなのだ。その米袋の上に苦力がのっていたが、これが全く知らん顔だった。「阿拉勿関」である。

路上の米をめがけて、道の両側から、どっと花子(乞食)の群(と俺は思った)が殺到した。先を争って、泥だらけの米をすくいあげる。

「こりゃ、すげえ」

白昼の掠奪だ。俺はたまげた。

「難民ですよ」

とロクは平然と言った。

「これこそ、ほんとのリャクだな」

感心するみたいに俺が言うと、ロクは、

「虹口サイドではあんまりないんですがね。河向うだと、石炭でも砂糖でも、なんでもこのデンでやってますよ」

「見張り役のような苦力がのってたが、なんにも言わない」

「なれてますからね」

こんな風景は自分だって珍しくはないといった口調で、

「ときには、鞭や棒を振り回して、追っ払ってるのもいますがね。でも難民のほうでは、いくらぶったたかれても平気で、顔から血を流しながら、トラックにしがみついて、かっぱらってる」