轻松读懂日语经典作品
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いやなかんじ
いやな感じ
高見 順
「文学界」1960(昭和35)年1月~1963(昭和38)年5月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 292,113 字 · 587 页
「分んないよ」
その夜、俺は宿屋に帰らないで、金原の部屋に泊った。中国人の家の二階の一室を金原は借りている。
次の日、金原が上海の郊外へ「用たし」に行くと言うので、俺も一緒について行くことにした。その出がけに、金原が昨夜「相棒」と言った中国人が来て、四・五・六のロクが俺から奪った匣槍を返してくれた。それは丸万が俺にくれた小型のピストルである。それをロクの死体からその中国人が取り返したのである。
「万事うまく行った証拠だ」
と金原が言って、
「さ、用たしに出かけよう」
簡単に「用たし」と金原は言ったが、それは一日がかりの仕事だった。蘇州河の上流の、日本軍の占領地域に行ったのである。租界の外れまでは車で行ったが、あとは堤づたいに歩いた。金原は紙に筆で書いた地図を手にしていた。百成の言う「物資搬出」業を金原はやっていたのだ。
上海のブラシ工場か何かが事変のとき、豚の毛を何十箱か、郊外へ「避難」させたはいいが、それを持って帰れなくなった。その物資をぜひ上海に持ち帰りたいと金原は中国人から依頼されて、ひとまず物資の所在をたしかめに行ったのだ。
その辺一帯は事変のときに、戦場だったところだ。