轻松读懂日语经典作品
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いやなかんじ
いやな感じ
高見 順
「文学界」1960(昭和35)年1月~1963(昭和38)年5月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 292,113 字 · 587 页
「ますますお盛んで……」
俺は玉塚をひやかした。
「戦争小説のネタの仕込みかい」
「砂馬慷一みたいにアブク銭は稼げないからね。戦意昂揚の小説でも書いて稼ぐよりしようがない」
玉塚はいやに落ちつき払っていた。もととちがって、ふてぶてしさを身につけているのが俺には意外だった。意外な人物に会ったという実感は、そこから来ているのかもしれぬ。
「加柴君はなにを仕込みに……?」
「俺かい」
返事に窮すると玉塚が、
「あんたは露悪が好きだが、ほんとはいい人だな」
「大きく出やがって、なめるな」
「上海で砂馬慷一に会ったが」
「俺のような小悪党とちがう大悪党に、タマさんもすっかり圧倒されたか」
「小悪党は僕さ」
「俺はお人よしか」
「加柴四郎は悪党でもなければ、お人よしでもない」
「じゃなんだ」
「根っからのアナーキストだ」
なんと言う村だったか、名前は忘れたが、川に沿ったその村に俺たちがはいると、家の壁に白いペンキでなまなましく、
老百姓們起来
殲滅東洋鬼子
と大書してあるのが眼についた。農民たちよ蹶起して日本軍を殲滅せよ。遊撃隊が書いて行ったのだ。
駆逐日寇
救老百姓
壁書にはこんなものもあった。