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ゆだんたいてき
ゆだん大敵
山本 周五郎
「講談雑誌」博文館、1945(昭和20)年2月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 20,664 字 · 41 页
七
「……大槻さま田口さまとご一緒で、和田さまへおいでになりました」という挨拶である。
――四人揃って免許祝いか。
賢七はそう思い、なおさら勘弁ならぬ気持で和田藤吉郎の家へまわった。
七
四人が免許祝いをしていたのでないことはたしかだ、ではなんのために集ったのか、それがひと口に説明できないのである。四人はいま相対して坐っている、話は免許のことから「ゆるし書」に及んで、四人とも妙に奥歯へ物の挾まったような調子になった。
「いったい和田氏のには」
と早川駿五郎が恐る恐る要点に触れた。
「……その、和田氏のゆるし書にはどういう秘伝が記してあったのかね、それをひとつ今日は拝見させて貰いたいのだが」
「いやそれは、その」藤吉郎は赧くなった。
「……さようなことは、なにしろ伝授書というものは他見を許さぬ大切なものだから」
「しかしわれわれはみな免許を受けている」
甚右衛門が膝をのり出した。
「……ほかの者にはいかぬだろうが、同門で同じように免許を受けているわれわれなら差閊えあるまい、そこもとだけとは云わぬ、われわれのゆるし書も披露するぞ」
「それはぜひ拝見したいが、自分のものはさして奇もないので、じっさいのところ神厳などというようなものではないので、それは困る」