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イデオロギーがいろん
イデオロギー概論
戸坂 潤
第四章 文化社会学の批判「文化社会学」同文館、1932(昭和7)年4月5日<br>第五章 知識社会学の批判「思想 第101~103号」1930(昭和5)年7月28日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 162,000 字 · 316 页
実践的世界観から裏づけられた哲学は、まず第一に唯物論的存在論である。之に反して観想的世界観に裏づけられた哲学は第一に、観念論的存在論となる。蓋し一般に存在論――存在・実在の理論――は哲学体系の第一段だと考えられる(第二段に就いては後を見よ)。
ギリシア哲学が学的な――単なる世界観ではない処の――哲学として始まったのはタレスからだと云われるが、そのタレス以来、ソフィスト達が出て来るまでのギリシア的世界観は、実証的な従って実践的な根本特色を以て貫かれている。そこでは自然や根本物質が中心の問題であり(自然観)、ピュタゴラス学徒の数の思想からが実はこの自然や根本物質の根本問題に答えるための一つの自然観であった。タレス自身が秀でた技術的知識の所有者であったことは知られている。処でこうした実証的・実践的・な世界観によって生まれたこのソクラテス以前の自然哲学は、何よりも唯物論的存在論として組織立てられている。それを最もよく代表するのはデモクリトスの原子論であった。デモクリトス的唯物論――原子論――が今日の実証科学に於ける原子論――原子物理学や量子論――の原型に当るということは必ずしも偶然ではない。