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ちょうさきかん
中井正一評論集
中井 正一
中井正一『中井正一評論集』。同一底本的分册已合并为一书。收入:調査機関、図書館に生きる道、図書館の未来像、二十世紀の頂における図書館の意味、脱出と回帰、探偵小説の芸術性、芸術の人間学的考察、美学入門、絵画の不安、スポーツの美的要素。
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 129,229 字 · 256 页
美学者はこれを「カタルシス」と呼んだのであるが、プラトンの美学、アリストテレスの美学はこんな芸術の世界を、頭に描いているのである。
封建制から、ルネッサンスの時代を経て、人間が、個人の自覚によみがえる時、ここには大いなる変革が起ってきたのである。つまり、自分が、自然や社会を、自分の眼で見ているのだということを、自分でとっくりわかる時があるのである。光を、太陽の光で見、言葉を俗語世界で取り扱うことを試みる時代なのである。それまでは、光は、神の光というか、ボーと上のほうから、落ちている画ばかり描いているのである。
しかし、やがて、自分が、逃れようもない自分自身の、探るような目つきによって、睨み据えられる時代がやってくるのである。
今さきいったハムレットを描いた、シェークスピア以後の悲劇が、運命悲劇に対立して、性格悲劇であるといわれるゆえんは、この自分が、自分と闘いはじめる、苦しい性格の内面の始まりを意味するのである。ハムレットの悲しみは、近代の悲しみの始まりなのである。
ホッブスが、「人間はおたがいに狼である」といった言葉は、人間が、封建国王の獅子に喰われて文句のいえない羊ではなくて、おたがいに海の上では剣でわたりあう男一匹、腕一本で戦いあえる対等の対立物であるといいきったのである。